悲しい気持ちにさせない覚悟とは

かっぱえびせんの袋が白黒に。

そのニュースを見たとき、私はさすがだなぁと、感動しました。

「え?あの赤い袋が?」そう思った方も多いのではないでしょうか。

ちなみにカゴメさんも早かったですね。

 

ボトルネックは「商品」ではなく、「包装」。

かっぱえびせんといえば、長く多くの人に愛されてきたお菓子です。あの袋を見るだけで、子どもの頃の遠足や、家族で食べた時間、何気ないおやつの記憶を思い出す人もいるかもしれません。長く愛されてきた商品ほど、パッケージには単なるデザイン以上の意味があります。

色、形、見慣れた印象。それは、消費者にとっての安心感であり、企業にとってはブランドそのものでもあります。

だからこそ、その色を変える判断は、決して簡単ではなかったはずです。

 

それでも、カルビーは色を減らすことを選びました。

けれどそれは、価値を下げるためではありません。

むしろ、大切なものを守るための判断だったのだと思います。

 

色は変わる。

でも、中身は変えない。

そして、届けることを止めない。

私はそこに、BCPの本質を見ました。

 

「きれいに売る」より「止めずに売る」

 

BCPというと、防災マニュアルと混同してしまう方も多く、非常用発電機、備蓄、安否確認、代替拠点、マニュアル整備などを思い浮かべる方が多いかもしれません。

 

もちろん、それらはとても大切です。

 

でも、BCPの本質は「平常時とまったく同じ状態を守ること」ではありません。

危機の時に、何を優先して守るのか。何を一時的に手放してでも、何を止めないのか。

その判断を、あらかじめ考えておくことです。

 

今回の白黒パッケージ化は、まさにその判断に見えました。

 

企業にとって、商品のパッケージはとても大切なものです。

  • 売り場で目立つこと。
  • 味を直感的に伝えること。
  • ブランドイメージを守ること。
  • 消費者に「いつもの商品だ」と安心してもらうこと。

それでも、危機の中で優先したのは「色を守ること」ではなく、「商品を届け続けること」でした。

 

私はここに、とても大きな意味があると思います。

 

今回の出来事は、南海トラフ巨大地震を考えるうえでも、重要なヒントを与えてくれます。

 

南海トラフ巨大地震というと、私たちはまず、建物の倒壊、津波、停電、断水、道路の寸断といった直接的な被害を想像します。もちろん、それらは命に関わる重大なリスクです。

 

けれど、事業継続という視点で見ると、もうひとつ怖いものがあります。それは、見えにくい不足の連鎖です。

  • 工場は無事でも、包装資材が届かない。
  • 商品は作れても、袋がない。
  • 中身はあるのに、ラベルがない。
  • 在庫はあるのに、段ボールが足りない。
  • 人はいるのに、燃料がない。
  • 営業したくても、物流が動かない。
  • 販売したくても、バーコードや表示が整わない。

事業を止めるのは、いつも大きなものとは限りません。名前も知らない小さな資材が、事業の急所になることがあります。

 

お菓子でいえば、袋。

医療でいえば、滅菌パックや手袋。

建設でいえば、養生テープ、接着剤、樹脂部材、燃料。

学校でいえば、給食食材の包装、印刷用紙、連絡手段。

自治会や避難所でいえば、簡易トイレ袋、掲示物、ポリ袋、ラミネート、配布資料。

 

主役ではない。けれど、それがなければ全体が動かない。

南海トラフ巨大地震のような広域災害では、被災地だけでなく、全国の企業や地域がこの問いに向き合うことになります。

 

「いつもの形で出せないとき、それでも届ける方法を持っていますか?」

 

今回のカルビーの対応は、その問いへのひとつの答えのように感じました。

危機の時には、すべてを完璧に守ることはできないかもしれません。

でも、何を守るのかを決めることはできます。

 

見た目は変わる。

でも、品質は守る。

 

色は減らす。

でも、供給は止めない。

 

いつものパッケージではない。

でも、いつもの味を届ける。

 

これは、単なるコスト削減やデザイン変更ではなく、危機対応としてとても大切な姿勢だと思います。

そして、もうひとつ大切なのは、消費者に対してきちんと説明することです。

危機時には、変更そのものよりも、「なぜ変わったのか」が伝わらないことの方が不安につながります。

 

いつもの色ではない。

いつもの見た目ではない。

売り場で違和感がある。

 

そのときに企業が、

「品質には影響ありません」

「安定供給のための対応です」

「今できる形で届け続けます」

と伝えることができるかどうか。

 

それも、BCPの一部です。

 

災害時も同じです。

 

企業も自治体も地域も、平常時と同じサービスを提供できない場面が必ず出てきます。

そのときに必要なのは、「できません」で終わることではありません。

 

「ここは変わります。でも、ここは守ります」

「いつも通りではありません。でも、止めません」

「十分ではないかもしれません。でも、届けます」

 

そう伝える力が、人の不安を少し和らげます。

 

防災もBCPも、結局は「人を悲しい気持ちにさせないための準備」なのだと思います。

もちろん、命を守ることが最優先です。けれど、命が守られた後にも、人には日常が必要です。安心が必要です。

いつものものがある、という小さな支えが必要です。

 

災害や社会不安の中で、いつものお菓子が棚にあること。子どもが「あ、これ好き」と手に取れること。大人が少しほっとできること。

それは、たかがお菓子ではありません。社会がまだつながっているという、小さなサインでもあります。

 

白黒になったかっぱえびせんの袋を見たら、私はきっと少し切ない気持ちになると思います。

でも同時に、こうも思うはずです。

この会社は、届けることをあきらめなかったんだな、と。

 

危機の時、私たちはすべてを平常時と同じように守ることはできないかもしれません。けれど、何を守るのかを決めることはできます。

色を手放しても、味を守る。

見た目を変えても、楽しみにしている人の時間を守る。

完璧ではなくても、社会とのつながりを切らない。

 

南海トラフ巨大地震の時代に必要なBCPとは、分厚いマニュアルを作ることだけではありません。

「何があっても、あなたに届けたいものがある」

その覚悟を、平常時から形にしておくことなのだと思います。

 これは、BCP「事業継続」を、生活者にもわかる形で見せてくれた出来事だと思います。

 

そして、なぜ?という視点を持つこと。

お子さんと考えてください。

なぜ、かっぱえびせんの包装が変わったと思う?

日本で何かあったから?

世界で、だよ。

ゲームの中の話ではなく、戦争が起きたり、起きそうになっていたり、それのせいで大切なものが送れなくなっているんだよ。

でも、そのうちみんなが使いすぎて、本当に何もなくなっちゃうかもしれないし、その前に地球が壊れちゃうかもしれないね。

どうすれば大切なものを守れるかな?

 

 

考えてほしい。

 

 

RISK WATCHでは、「大切なものを守るために」を掲げ、これからも生き抜く力を育てる教育を行って参ります。

今までの常識にとらわれない、日本の未来を生きる子どもたちへの教育です。

子どもたちに生き抜く力を。

 

RISK WATCH 奥田 悦子


大切なものを守るために

 

一般社団法人RISK WATCHは、リスク(災害、事故、犯罪)の防止を目的に、 自治体、地域住民、教育機関、企業の方々に世界基準の危機監視・管理プログラムを提供します。自分たちの地域や財産、環境、そして最も重要な”自分の命を自分で守る”ための知恵と危機を監視する能力を育成し、技術を身に着けてもらうことを目的として設立されました。

子どもからご高齢者まで、すべての方が命を守り、幸せな毎日を送れることを願って。

 


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プログラム


前在日米海軍横須賀基地統合消防隊予防課長として学びを深めた危機管理教育は、日本式の安全教育や危機管理教育とは違い、現実的で実践的なものでした。

RISK WATCHプログラムでは、アメリカ消防の危機監視戦略を元に、すべての人が危機を予知し、対応力と回避していく能力を高め、身につける教育プログラムを提供します。様々なリスクにどう向き合い対処していくのか、社会も環境も変化する中で必要な知恵と技術を身に付けます。


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横浜市消防局南消防署のご協力を頂きながら、子どもたちの生き抜く力を育て、大切な人を守ることができる確かな知識と技術を身に着けることを目的として活動しています。危機を監視できる、自分の命は自分で守る、これが当たり前にできることが何よりも大切です。学校の勉強では教えてくれない、賢く、強く、しなやかに生きることができる大人になるための本当の学びを提供します。



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防災講演・防災計画・BCP/BCM及びマニュアルの作成・支援、防災訓練(図上訓練・実動訓練)を行います。ベテランの講師陣へ、お気軽にご相談ください。


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(横浜市戸塚区HP戸塚区地域防災アドバイザー派遣事業より)

 

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